発達障害者との作品鑑賞プログラム
[実施] アール・ブリュット インフォメーション&サポートセンター
[芸術文化分野] 美術
[取組場所] 文化施設
取り組みのねらい
誰もが作品鑑賞を楽しめるように企画したプログラムの一つで、発達障害のある方を対象にして作品鑑賞を実施。参加者それぞれ空間や作品の感じ方に違いがあることを、グループワークや対話型鑑賞を通して知ることを目的としました。
実施内容
日程 | 2017年11月18日(土) |
会場 | ボーダレス・アートミュージアム NO-MA |
開催に先立って、オリエンテーションを実施。報告用の写真を撮影することや会場のトイレ、休憩スペース、当日の時間割などについてアナウンスしたのち、発達障害のある人、ない人、混合の3つのグループを編成して、1日の流れを説明しました。その後、次の2つのテーマで展開しました。
①「環境を考える」=自分の好きな場所と苦手な場所をカメラで撮影してもらいました。手がかりとして、会場の明るさ、聞こえてくる音、作品が設置されている高さについて意識してみてはどうかと具体的に提示。グループごとに撮影した画像と、好き・苦手の理由(畳が落ち着く、ブラインドのしみがかわいい、温湿度計が壁の色と違和感がある、室外機の音がうるさいなど)を共有し、苦手な場所を克服するアイデアを出し合って、できる範囲で実際に解決してみました。
②「作品の見方を考える」=鑑賞する作品を選定して5分ほど個々で鑑賞してもらい、「最初に気づいたことは?」「印象は?」「何でつくられている?」「色から気づくことは?」「作者はどんな人?」という問いかけもしました。鑑賞して気づいたことや感じたことを付箋に書き出し、順番に発表。その際、一つの気づきや感想ごとに、似た気づきや違う気づきなど関連する意見を求め、お互いの感じ方に違いが見つかるように進行しました。最後に作者の意図を共有しました。
成果
「普段は作品をじっくり見ることができないので鑑賞の仕方が参考になった」「ほかの人と作品の見方についてコミュニケーションを持てるのは意外と面白いと知った」といった感想が寄せられました。試行的実践でしたが、今後の継続を望む声があり、参加者の満足度は高いものでした。発達障害のある人の作品鑑賞支援はほとんど取り組まれておらず、今後も広く取り組んでいくべきものだと考えます。